英ケンブリッジ大学 – 外傷性脳損傷を定量評価するAIアルゴリズム

外傷性脳損傷はこれまで、専門医による頭部CT画像の読影によってその重症度判定がなされてきたが、多くの場合でこれは定量的な評価ではなかった。英ケンブリッジ大学などの共同研究チームは、脳損傷の程度を病変の種類や大きさ、位置関係などから画像的に定量評価を行うAIアルゴリズムを開発した。研究成果は学術ジャーナルThe Lancet Digital Healthにて14日公開されている。

研究チームの論文によると、畳み込みニューラルネットワークを用い、欧州60施設に及ぶ外傷性脳損傷の患者データからアルゴリズムをトレーニングしたという。AIは病変の部位・大きさ・容量などを正確に捉え、進行の予測を行うことができるようになったが、これはインドで行われた500名の患者に対する妥当性の検証試験でも同等の成果を示していたとのこと。

AIによる医療画像の客観的かつ自動的な評価は、臨床医の診断と治療方針の策定にとって大きな補助となり得る。また救急の現場など、疾患リスクを精緻に評価するには時間が不足する場面での潜在的な有効性は特に高い。現時点では研究用としてのテクノロジーの域を出ないが、チームは実臨床現場で活用される診断ツールとしての展開までを見据えている。

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TOKYO analytica
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1. M.Okamoto MD, MPH, MSc, PhD
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、ロンドン大学ユニバーシティカレッジ(University College London)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcherを経て東京大学特任研究員など。専門はメディカルデータサイエンス。

2. T.Sugino MD
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。