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ソーシャルディスタンス確保はCOVID-19の感染拡大を本当に抑制しているのか?

米オクラホマ州立大学などの研究チームは、ソーシャルディスタンスの確保が「どの程度COVID-19の感染拡大を抑制しているのか」を、機械学習手法を用いて調査した研究報告をまとめた。

JMIR Public Health and Surveillanceに公表されたチームの論文によると、GoogleとAppleが収集したGPSモビリティデータと欧州疾病予防管理センター(ECDC)の疾患統計を利用し、26か国におけるソーシャルディスタンス関連政策がどのように感染拡大に影響したかを調査した。勾配ブースティング回帰木を用いたモデルでは、ソーシャルディスタンス関連政策によってもたらされた「モビリティパターンの変化」は、「COVID-19の感染率の変動」の47%を説明していた。

研究者らは、これまで多く示されてきたシミュレーションベースの先行研究と同じく、やはりソーシャルディスタンス確保は感染拡大を抑制すると結論付けている。一方で、全体的で一義的なソーシャルディス政策ではなく、精緻なデータ解析によって地域特異的な必要性を捉え、政策に反映させることの必要性も訴える。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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