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生物医学分野における3Dプリンティングのトレンド

Additive Manufacturing(付加製造法)は従来の切削加工のような除去製造法とは全く異なる製造技術で、画期的なイノベーションを無数に生み出してきた。これは多数の医療問題に対処できる最新のテクノロジーとも見なされており、再生医療や人工臓器などの高度医療領域でも一定の有望な成果を示している。

ルーマニアの研究チームは、学術誌Journal of Polymers and the Environmentに投稿したレビュー論文の中で、生物医学分野における3Dプリンティング技術のトレンドを概説している。中でも高精度な薬物送達システムの構築における有効性が指摘されており、錠剤やカプセル、口腔内フィルム、創傷パッチなどの医薬品開発への応用も進んでいるという。特に近年では、当該領域での4Dプリンティングの利用拡大が顕著だ。4Dプリンティングは「環境からの入力に応じて形状変化できる造形物」を製造するもので、例としては「セラグリッパー」と呼ばれる熱応答式の薬剤溶出装置が挙げられる。セラグリッパーは消化管内で一定温度を超えた場合に作動するもので、体内での特定組織の捕捉とその部位での選択的な薬物の送達を実現する。

付加製造法では材料と処理技術に関連する情報が膨大となり、目標物の適切な解釈や材料選択、ビルド制御、欠陥検出などあらゆるシーンにAIの利用余地がある。また、3Dプリンティングが抱える数々の現実的な問題(遅い・不正確な作動・高コスト・材料の制限)にも、AIが解決策を与える可能性があり多方面からの研究開発が進んでいる。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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