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マウントサイナイ – 複合情報からCOVID-19を高精度に検出するAIアルゴリズム

米ニューヨークに本拠を置くマウントサイナイヘルスシステムの研究チームは、医療画像や曝露歴、患者背景などの複合情報から高精度にCOVID-19陽性を識別するAIアルゴリズムを開発した。研究成果は学術誌Nature Medicineにて、先週公開された。

チームの研究論文によると、PCR検査施行済みである905名(うち、陽性は419名)のデータベースを利用し、胸部CT画像・臨床症状・濃厚接触などの曝露歴・他の検査結果などの複合情報からCOVID-19陽性を識別するAIアルゴリズムを構築したという。279名からなるテストセットでの検証では、AUCで0.92と高い識別精度を示し、感度については熟練の放射線科医と同程度の水準であった。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、医療画像からの診断補助AI開発が急速に進んだが、単純レントゲンはもとより、より解像度の高いCTであっても画像単独での識別能力には限界があった。より高精度で実用的な診断補助AIを構築するには、周辺情報を複合させるアプローチを取ることが現実的であり、本研究ではこの事実を明確に示した形となる。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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