医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例AIとサーモグラフィ検査で糖尿病患者の足を救う - VisionQuest

AIとサーモグラフィ検査で糖尿病患者の足を救う – VisionQuest

米国では糖尿病の有病率が10%にも迫ろうとする。全身の微小血管に障害を起こすという疾患特性から、いわゆる三大合併症として、網膜症・腎症・末梢神経障害が患者の生活を損ない、社会的・経済的な損失は莫大なものとなる。中でも末梢神経障害と足病変に焦点を当て、早期発見のための有効な検査法として、AIと赤外線サーモグラフィを組み合わせた手法をVisionQuest Biomedical社が開発した。

VisionQuestのニュースリリースによると、サーモグラフィで末梢神経障害・足病変の早期兆候を検出する検査システムは、ニューメキシコ大学との臨床研究を完了している。その検査手法は、足裏の冷却からの温度回復パターンを解析し、末梢神経障害患者での不均一な温度回復を捉える(参照: VisionQuest)。従来の検査手法である音叉による感覚試験や針筋電図などは、神経障害の進行した後期には有用であるが、早期診断での感度は不十分であった。同システムは臨床指標が明確ではない初期段階の患者を、日常診療の場で検出することを狙いとしている。

VisionQuestは他にも糖尿病網膜症をAIで画像評価するシステムを開発している。そこからは糖尿病の包括的な医療アクセスに対して、検査方法からの革新を目指す姿勢がうかがえる。糖尿病をめぐる診断と治療には貧困や経済格差、あるいはその国の総合的な公衆衛生事情を反映する側面もあるため、効率的で費用対効果の高い検査手法に対する期待はこれからも増していくだろう。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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