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既存薬の組み合わせでCOVID-19の高い治療効果を目指すAI研究

COVID-19治療薬の開発競争は熾烈を極めているが、ゼロベースでの創薬だけではなく、既存薬の利用による効果検討も多面的に進んでいる。既存薬は副作用情報が十分にあるため、より安全な運用が可能であること、長大な臨床試験を大幅に省略できることでスムーズな導入を実現できることなどのメリットがある。このほどシンガポールの研究チームは「複数の抗ウイルス薬を組み合わせることでより高い治療効果を望める」というAI研究の成果を公表した。

The Straits Timesが先週報じたところによると、AIプラットフォームを利用したこの新しい研究では、エボラ出血熱治療薬として知られるレムデシビルに、HIV感染症の治療薬であるリトナビル・ロピナビルを組み合わせることで、レムデシビル単独治療と比べて約6.5倍の治療効果を望める可能性を示したという。

米国では先月、重症のCOVID-19患者を対象としてレムデシビルの緊急利用が承認されるなど、既存薬の利用は各国で急速に進む。既存薬を巡る新しい知見の集積は、最も現実的で効率的なCOVID-19治療法確立へのアプローチとも捉えられており、まさに今科学コミュニティの力が試されようとしている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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