神経疾患である「てんかん」では、脳神経細胞の電気的な異常興奮により、痙攣をはじめとした諸症状を引き起こす。近年、脳波(EEG)によるてんかん発作の検出と予測に関して、AIの利用価値に注目が集まっている。ワシントン大学を中心とした研究グループによる「てんかん発作の脳波検出精度を高める機械学習技術」が学術誌 Scientific Reportsに発表されている。
ワシントン大学のニュースリリースによると、同研究では、23個の電極から取得される脳波に機械学習を適用し、てんかん発作の検出精度を高めたという。単一の脳波だけを見るのではなく、脳の各領域同士の相互作用を考慮することで効率的な計算処理が可能となり、発作の検出率は93.6%を達成している。
てんかん発作は、投薬や手術によって7割ほどがコントロールできるといわれる。しかし一部には難治性の患者が存在し、発作の個人差が大きいことから、その検出と予測は重要な課題とされてきた。同様の研究を通して脳機能ネットワークへの理解が進むことにより、発作の個別性に対応した臨床応用が期待されている。