医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例「救命救急で重大な4つの頭部CT所見」の診断AIで米FDA承認 - Qure.ai

「救命救急で重大な4つの頭部CT所見」の診断AIで米FDA承認 – Qure.ai

画像診断AIスタートアップQure.aiが、胸部X線のAI診断システム「qXR」でインドの結核診断に取り組む様子を以前に紹介した(過去記事)。同社が展開する画像診断AIのラインナップでは頭部CT向けのツールも注目されている。

Qure.aiの6月30日付プレスリリースによると、頭部CTのAIツール「qER」で救命救急領域向けに4つの重大な異常を検出する機能で、米国FDAの承認取得を発表した。AIでトリアージされる4つの異常は、1.頭蓋内出血 2.マスエフェクト(血腫などによる脳組織の圧排効果) 3.ミッドラインシフト(脳組織の圧排で正中線が偏移する所見) 4.頭蓋骨骨折である。

qERの理論的背景は2018年にThe Lancetに掲載されており、そのディープラーニングアルゴリズムは広範な検証を経てきた。米国では年間7500万回以上のCTスキャンが行われ、1万人以上が救急外来ERから離れた7日以内に死亡しているといわれる。そういったなか、ERにおける診断時間短縮と精度向上に高品質なAIツールが求められている。業界初をうたう同時4機能、4-in-1のFDA承認は、患者の人生を変える貴重な診断プロセス短縮を救命現場にもたらすだろうか。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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