心臓のリズム障害・不整脈は突然死の原因として積極的な治療の対象となりうる。治療法として薬物、ペースメーカー、そして近年では血管内を通じたカテーテルによる心筋の焼灼(アブレーション)で電気的な伝導路を調整する技術が急速に普及している。フランス発のスタートアップ「inHEART」は不整脈に対する手術前に心臓の仮想コピーモデルを3Dデジタルツインとしてクラウド環境に画像構築するソフトウェアを提供している。
inHEARTの2日付プレスリリースによると、同社は370万ユーロ(約4.5億円)の資金調達を発表し、欧州での商業開発と米国市場への進出などに資金を充当させるという。inHEARTの技術で構成されるデジタルツインは、心臓専門医の手術計画を支援し、手術器具の心臓内でのナビゲーションとなり、手術時間と治療不成功を減少させる。研究成果は同社のPublicationsから確認でき、学術誌Journal of Interventional Cardiac Electrophysiologyには画像統合型カテーテルアブレーションで手術時間の約30分短縮に貢献したことなどが発表されている。
inHEARTの技術は40施設・2000人以上の患者に使用され、専門家から支持されている。カテーテルアブレーションの安全性と効果を高める手法として、同様の技術は一層普及してゆくだろう。心臓電気生理学の市場は年50億ユーロ(約6000億円)として、inHEARTのCEOであるJean-Marc Peyrat氏は「主要プレーヤーであるヘルスケアの巨人企業と同じ野心を共有している」と語った。