医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例心臓のデジタルツインでカテーテルアブレーションを革新 - 仏 inHEART

心臓のデジタルツインでカテーテルアブレーションを革新 – 仏 inHEART

心臓のリズム障害・不整脈は突然死の原因として積極的な治療の対象となりうる。治療法として薬物、ペースメーカー、そして近年では血管内を通じたカテーテルによる心筋の焼灼(アブレーション)で電気的な伝導路を調整する技術が急速に普及している。フランス発のスタートアップ「inHEART」は不整脈に対する手術前に心臓の仮想コピーモデルを3Dデジタルツインとしてクラウド環境に画像構築するソフトウェアを提供している。

inHEARTの2日付プレスリリースによると、同社は370万ユーロ(約4.5億円)の資金調達を発表し、欧州での商業開発と米国市場への進出などに資金を充当させるという。inHEARTの技術で構成されるデジタルツインは、心臓専門医の手術計画を支援し、手術器具の心臓内でのナビゲーションとなり、手術時間と治療不成功を減少させる。研究成果は同社のPublicationsから確認でき、学術誌Journal of Interventional Cardiac Electrophysiologyには画像統合型カテーテルアブレーションで手術時間の約30分短縮に貢献したことなどが発表されている。

inHEARTの技術は40施設・2000人以上の患者に使用され、専門家から支持されている。カテーテルアブレーションの安全性と効果を高める手法として、同様の技術は一層普及してゆくだろう。心臓電気生理学の市場は年50億ユーロ(約6000億円)として、inHEARTのCEOであるJean-Marc Peyrat氏は「主要プレーヤーであるヘルスケアの巨人企業と同じ野心を共有している」と語った

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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