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COVID-19の第二波対策として求められる「遠隔医療の拡充」

フロリダアトランティック大学ビジネスカレッジの研究チームは、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う遠隔医療の重要性が特に高まっている一方、その導入は米国内において地域差が非常に大きいことを示し、第二波に備えた地域的拡充の必要性を訴えている。

The Journal of Rural Healthに短報として公表されたチームの研究論文によると、American Hospital Association(AHA)が有する3,268の急性期病院データベースに基づき、今回の調査を行ったという。米国内の病院における遠隔診療システムおよびeICU(集中治療室を病院間でVPNによって繋ぐもの、フィリップスが展開する)の実装を目的変数として、組織的要因や人口、地域性などのうち、何が有意な説明変数となるかをロジスティック回帰分析を用いて解析した。結果、遠隔医療の提供体制構築には地域差が大きいこと、特に遠隔診療システムについてはより地方に所在する病院ほど、広範な導入につながることを明らかとした。

研究チームは「COVID-19によって大きな打撃を受ける地域は、遠隔医療機能をさらに拡張する必要性がある」ことを指摘する。COVID-19の感染拡大に脆弱なのは、必ずしも医療リソースの乏しい地域だけではなく、都市部においても医療的オーバーフローを見越したバックアップシステムとしての遠隔医療機能の拡充が欠かせないとする。日本国内においても第二波の兆しが見え隠れするなか、医療崩壊を免れるには適切な体制評価と見直しが欠かせず、ここでは「遠隔医療」が重要なキーワードとなることは間違いない。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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