乳がんの発生に関わるリスク因子は、近年になり特定が相次いできた。他のがんと同様、乳がんでも遺伝的な要素と非遺伝的な因子の双方がリスクとなる。そのため、同時多発するリスク因子の組み合わせを効率的に解釈できる機械学習モデルの開発に注目が集まっている。「乳がんリスクについて遺伝的要因と患者属性因子との相互作用から機械学習アプローチにより予測する」研究成果が、フィンランドの研究者グループから学術誌 Scientific Reportsに発表された。
東フィンランド大学のニュースリリースによると、同研究では遺伝子の相互作用マップが構築され、そこに「家族歴」と「エストロゲン代謝」に関連するリスク因子が組み合わされることで、最適な予測精度がもたらされることが機械学習モデルから示された。乳がんの発生を予測するうえでは、遺伝子変異よりも、非遺伝子的リスク因子である患者特性の組み合わせの方がより重要な素因となる可能性も示唆されている。
同研究のようなアプローチは、乳がんスクリーニング全体のパフォーマンス向上と、そこに充てる医療資源の効率的な配分を可能にする。研究グループによると、今後はマンモグラフィなど画像検査のデータソースも組み合わせた乳がん予測モデルの開発に着手しているという。