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急性腎障害予測アルゴリズムが「FDAブレイクスルーデバイス」の認定

多岐にわたる原因によって、急速な腎機能低下をきたす病態を急性腎障害(AKI)と呼ぶ。多くは可逆的であり、原因の究明と早期治療介入によって改善をみるが、診断の遅れは慢性的な透析導入や腎移植の必要性、さらには併存症による死亡リスクまでを高める。米カリフォルニア州オークランドに本拠を置くDascenaは、AKI早期診断のための機械学習アルゴリズムを開発している。

Dascenaが7日公表したところによると、同社のAKI早期診断アルゴリズム「Previse」は「FDAブレイクスルーデバイス」の認定を取得したという。Previseは、心拍数・呼吸数・体温・血清クレアチニン値・グラスゴーコーマスケール・年齢と、限られた情報から早期のAKI発症を予測できる。Canadian Journal of Kidney Health and Diseaseに公表された同社の根拠論文によると、Previseは発症48時間前にAKIを予測し84%の精度を示している。これは臨床的な診断基準を満たす前からの適切な介入を実現できることを意味し、同アルゴリズム利用による患者転機の大幅な改善が強く期待されている。

Dascena CEOのRitankar Das氏は「我々の機械学習アルゴリズムは、バイタルタインを主としたデータ分析によって患者のAKI発症リスクを判断することができる。このテクノロジーにより、患者予後の悪化を防ぐだけの十分な時間を、各臨床医に提供することができると信じている」とする。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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