膵臓がんの生存率は、他のがんが年々向上しているのと対照的に、この数十年でほとんど改善されていないといわれる。膵臓がんは10万人あたり8-12人程度の稀な新規発症で、全人口を対象とした検診は非効率で多くの人を不要な検査にさらしてしまう。
膵臓がん検診を現実的なものとするため「機械学習を用いて膵臓がんの高リスク患者を診断20ヶ月前に予測する研究」が2020欧州臨床腫瘍学会(ESMO)に発表され、最優秀演題を受賞するなど高い評価を得た。
News-Medical.Netには、同研究を主導するLondon School of Hygiene & Tropical Medicineの研究員であるAnanya Malhotra博士のインタビューが掲載されている。パイロット研究では60歳未満の人で診断20ヶ月前に膵臓がんの高リスクを予測できるアルゴリズムが開発され、検診を行うべき患者を大幅に絞り込める可能性が示された。
同研究によって、AIによる膵臓がんスクリーニングが一歩現実に近づいたが、それでもまだ膵臓がんから1人の患者の命を救うために1500件の検査が必要と推定されている。Ananya Malhotra博士によると、喫煙や糖尿病など重要な変数からアルゴリズムを改良して、費用対効果面での改良と評価を目指しているという。