医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例最新医療AI研究標準血液検査項目から新型コロナウイルス感染を識別するAIモデル

標準血液検査項目から新型コロナウイルス感染を識別するAIモデル

新型コロナウイルス感染症は現在、世界的に深刻な拡大を続けているが、ウイルス感染を識別する手段が限定的であること、またその識別精度がそもそも十分とは言えないものであることなどが問題となってきた。米カリフォルニア州に本拠を置くBitscopic社の研究チームは、一般的な血液検査項目の組み合わせから、新型コロナウイルス感染を識別するAIモデルを構築した。

学術ジャーナル・Clinical Infectious Diseasesにて12日公表されたチームの研究論文によると、本年3月から7月の間に新型コロナウイルス感染検査を受けた75,991人からなる退役軍人コホートを利用したという。各人に感染の有無をラベル付けした上で、ルーチンで施行される20の血液検査項目の結果から機械学習モデルをトレーニングしたところ、感度82.4%・特異度86.8%・正確度86.4%で、モデルは標準血液検査項目のみから新型コロナウイルス感染を予測することができた。

本手法単独で確定診断を導くことには大きな議論を残すが、補助的検査法としての潜在的な有効性が示唆されたと言える。チームは論文の中で、「PCR検査などで見逃された陽性患者のすくいあげに役立つ可能性」を指摘し、今後の臨床現場における積極活用を推進する構えを示す。

TOKYO analytica
TOKYO analyticahttps://tokyoanalytica.com/
TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
RELATED ARTICLES

最新記事

注目の記事