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COVID-19による死亡リスクを推定する深層学習アルゴリズム

ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校などの研究チームは、多数の臨床変数からCOVID-19に伴う死亡リスクを推定する深層学習アルゴリズムの開発を行っている。研究成果によって特定された「説明力の高い予測因子」は、切迫した現場におけるCOVID-19患者のトリアージを支援することも期待されている。

Journal of the American College of Emergency Physicians Openに掲載されたチームの研究論文によると、2020年1月から3月までに中国・武漢の主要病院において、COVID-19の治療が行われた181名の患者データからアルゴリズムを構築したという。患者基本属性や既往歴、症状、バイタルサインや各種検査結果など、入院時に収集された78の臨床変数から死亡率予測を行った。予測パフォーマンスはCOVID-19の重症度スコアやCURB-65、PSIと比較したところ、チームの開発したアルゴリズムは死亡率予測においていずれの指標も上回っており、D-dimerやOxygen Index、好中球・リンパ球比、CRPなどが重要な予測因子として確認された。

特に説明力の高い予測因子から構成される新しいリスク層別スコアは、6段階評価で0%から83.3%までの死亡率評価を実現しており、特に時間的・物的リソースが大きく制限される現場において、臨床的な意思決定に役立つ可能性があるとしている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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