強い鎮痛効果を持つフェンタニルは、医療用麻薬として用いられる他に、違法ドラッグとしての濫用や、エアロゾル化して化学兵器とされるリスクがある。「機械学習によって、既知のフェンタニルと、新しく人為的に合成されたフェンタニルを識別する手法」が学術誌 Scientific Reportsに発表されている。
研究を主導したセントラルフロリダ大学のニュースリリースによると、同研究ではフェンタニルに含まれる官能基の構成分子を赤外線スペクトルによって識別する機械学習アルゴリズムが構築された。このAI手法によって、フェンタニルの識別が92.5%の精度で可能であることが示されている。
今回の研究では、赤外線スペクトル分析は卓上装置で迅速かつ高精度に行われるが、対象となるのはガス状の化合物に限定されている。機械学習のさらなる利用により、粉末状のフェンタニルを検出する研究が進められる。また、法執行機関や軍人が現場で活用できるような検出装置として、2021年までに同技術が実用化されることも期待されている。