米デューク大学や英ユニバーシティカレッジロンドン、エディンバラ大学などの共同研究チームは、大規模な心房細動患者レジストリを用いた解析で、患者転機の予測に関し「機械学習アプローチが従来の回帰モデルによる予測精度を下回る」ことを示した。研究成果は査読付き医学ジャーナルであるEuropaceに掲載されている。
オンライン版として3日公開されたチームの研究論文によると、ORBIT-AFとGARFIELD-AFという2種の心房細動患者レジストリ、計74,792例の解析によってこの成果を導いたという。考慮されたモデルはstepwise logistic regression、random forest、gradient boosting、および2種のneural networkで、潜在的な予測因子群から死亡や脳卒中発症といった心房細動に基づく深刻な転機の予測精度を比較した。興味深い結果として、機械学習モデルの識別精度はほとんどの結果においてstepwise logistic regressionと同等かそれより低く、多層neural networkは全ての結果において最低パフォーマンスを示した。
研究チームは、このレジストリ2種から得た成果に関しては「AIモデルが従来型の予測モデルを改善することはなかった」とし、統計界隈でも勢いを増す「AI万能説」に議論の必要性を投げかける。単一の研究成果が絶対的な真実を示すわけでは無いが、盲目的な手法選択に頼らず、多面的で精緻な解析計画こそが頑健な成果に近付く道筋であることだけは間違いない。