医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例米国防総省がGoogleのAR顕微鏡をパイロットプログラムとして採用

米国防総省がGoogleのAR顕微鏡をパイロットプログラムとして採用

米国防総省に属するDefense Innovation Unit (DIU)は、軍全体で新興商業技術の早期採用を促進する組織である。従来の約18カ月以上という国防総省の契約プロセスに対し、DIUはプロトタイプの契約まで60-90日を目標とする。AI技術はDIUが採用に注力する5分野(AI・自律性・サイバー・ヒューマンシステム・宇宙)のひとつである。

DIUのニュースリリースによると、GoogleのAIを搭載した拡張現実(AR)顕微鏡がDIUのパイロットプログラムとして採用されたことを発表している。AR顕微鏡で組織サンプルを見ると、がんの可能性が高い精査すべき領域がリアルタイムで画面上に注釈として表示される。(参照:Googleが公開しているAR顕微鏡のYouTube動画)アルゴリズムは国防総省の医療システム全体が抱える膨大な病理画像データベースで訓練され、精度の向上が図られる。

Googleは同プログラムに対して、TensorFlowとGoogle Cloud Healthcare APIの技術提供を行い、国防総省の保有する世界最大級の医療画像データが取り込まれ、患者個人情報の匿名化が行われる。国防総省がプロジェクトを加速させることで、AR顕微鏡が実際の臨床で活用される光景が現実になりつつある。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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