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心房細動の転機予測 – 機械学習アプローチが従来の回帰モデルを「下回る」

米デューク大学や英ユニバーシティカレッジロンドン、エディンバラ大学などの共同研究チームは、大規模な心房細動患者レジストリを用いた解析で、患者転機の予測に関し「機械学習アプローチが従来の回帰モデルによる予測精度を下回る」ことを示した。研究成果は査読付き医学ジャーナルであるEuropaceに掲載されている。

オンライン版として3日公開されたチームの研究論文によると、ORBIT-AFとGARFIELD-AFという2種の心房細動患者レジストリ、計74,792例の解析によってこの成果を導いたという。考慮されたモデルはstepwise logistic regression、random forest、gradient boosting、および2種のneural networkで、潜在的な予測因子群から死亡や脳卒中発症といった心房細動に基づく深刻な転機の予測精度を比較した。興味深い結果として、機械学習モデルの識別精度はほとんどの結果においてstepwise logistic regressionと同等かそれより低く、多層neural networkは全ての結果において最低パフォーマンスを示した。

研究チームは、このレジストリ2種から得た成果に関しては「AIモデルが従来型の予測モデルを改善することはなかった」とし、統計界隈でも勢いを増す「AI万能説」に議論の必要性を投げかける。単一の研究成果が絶対的な真実を示すわけでは無いが、盲目的な手法選択に頼らず、多面的で精緻な解析計画こそが頑健な成果に近付く道筋であることだけは間違いない。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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