医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例川崎病の血液検査がAIで確立されるか? - 米Prevencio社「HART KD」

川崎病の血液検査がAIで確立されるか? – 米Prevencio社「HART KD」

日本の小児科医である川崎富作によって発見された「川崎病(Kawasaki disease:KD)」は乳幼児の発熱疾患として有名である。全身の血管に炎症を引き起こし、冠動脈瘤のような後遺症を残すことも川崎病が重要な疾患として認知されている理由の1つである。現在でも疾患の原因が特定されておらず、診断のための特異的な検査は確立していない。COVID-19の流行で、川崎病に類似した症状を呈する患者が発生していることから再び注目を集めるようになった。

Prevencio社はAI主導のプラットフォーム「HART」で高精度の血液検査手法を開発している。同社は17日、川崎病診断のための「HART KD」を開発したことを、Business Wireにおけるプレスリリースで発表した。川崎病の子どもたちから採取した血液サンプルに対して同社のAIプラットフォーム上でタンパク質の解析を行い、疾患診断を可能にするという。

Prevencio社はシアトル小児研究所との共同研究を進めており、診断精度を裏付ける臨床での検証成果の発表が待たれるところである。特異的な検査手法が確立していなかった川崎病に、AI技術による恩恵がもたらされるか、革新がすぐそばまで迫っている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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