米国自殺予防財団(American Foundation for Suicide Prevention)調べによると、自殺は米国の死因の第10位で、2018年には年間140万件以上の自殺企図が記録されたという。自殺企図を予測する機械学習による取り組みは以前にも紹介した(過去記事)。日常の臨床記録から自傷行為リスクを予測するAIアルゴリズム研究が、サウスカロライナ医科大学の研究者らによって学術誌 JMIR Medical Informaticsに報告されている。
News-Medical.Netでは同研究を紹介している。この研究では電子カルテ内のテキストデータを解析し、「故意の自傷」の国際疾病分類(ICD)コードを持つ患者と、コードを持たない対照群とでトレーニングして、アルゴリズムを構築した。訓練されたモデルの予測精度を検証したところ、AUCは0.882の性能を示した。メンタルヘルスと無関係の症状で受診している患者のデータを含めることは、アルゴリズムにとって多くのノイズを含む。そういったなかでも、このモデルは過去の報告と比較して十分な予測精度に達していると、著者らは主張する。
同研究は日常の臨床記録のみに基づいて自傷行為リスクの高い患者を特定する、ディープラーニングモデルの実現可能性を示している。研究チームは、自傷行為以外に自殺・希死念慮についても予測モデルを検討予定であり、他施設でも一般化できるモデルとなるようにさらなる研究を進めていく。