米ペンシルベニア大学ペレルマン校の研究チームは、60,000人を超えるアルツハイマー病患者の遺伝子・画像・臨床データから、アルツハイマー病における新しいバイオマーカーの特定を目指している。アルツハイマー病のより正確な診断バイオマーカーの特定は、創薬ターゲットともなり得るため、新規治療薬開発に結びつく可能性からも大きな注目を集める。
Health IT Analyticsが報じたところによると同大学は、米国立衛生研究所(NIH)から1780万ドルに及ぶ研究助成を受け、11の研究センターと共同した大規模研究を推進している。研究を率いる放射線医学分野教授のChristos Davatzikos氏は「アルツハイマー病をはじめとする神経変性疾患は、非常に不均一な所見を呈する」とした上で、この不均一性こそが、これまでアルツハイマー病をターゲットとした多くの治験が失敗に終わってきた理由であると指摘する。
研究チームは、視覚的に検出することは不可能なものも含め、複雑なパターンをAIによって捉えることで、アルツハイマー病の診断と進行予測に寄与するバイオマーカーの特定を目指す。Davatzikos氏は「我々はアルツハイマー病という用語を再定義したい」と話し、既存の枠組みは複数のサブセットを包括した概念となっている可能性があるとしており、その一部に顕著な治療効果を示す薬剤を導出し得る点までに言及している。