間質性膀胱炎(Interstitial Cystitis: IC)は膀胱に原因不明の炎症が起きて痛みや頻尿症状を伴う難病である。日本国内でも指定難病とされており、確立した治療法が乏しいことも相まって、患者にとって生活の質を大きく損なう疾患として知られる。その診断は主に自覚症状と膀胱内視鏡検査に依存し、客観的なバイオマーカー検査の不足が課題とされていた。
近年、機械学習の隆盛に伴い、間質性膀胱炎の患者から特異的な尿中代謝物質を検出する「メタボローム解析(Metabolomic analysis)あるいはメタボロミクス(Metabolomics)」と呼ばれる新たな手法が探究されている。
学術誌 Bladderには、テキサス大学アーリントン校の研究者らによる「間質性膀胱炎を尿中メタボロームから診断する機械学習アルゴリズム」が発表されている。尿中物質は核磁気共鳴分光法で分析されており、その特徴量から、間質性膀胱炎患者と対照群を区別する機械学習アルゴリズムを構築した。アルゴリズムはAUC 0.9-0.94を達成している。
同研究によって、尿中代謝物質から間質性膀胱炎を診断できる可能性が示唆された。メタボロミクスデータの理解がさらに深まり、間質性膀胱炎のバイオマーカー確立への期待が高まっている。