肺の血管に血栓が詰まる致死的な病気「肺塞栓症」は、米国内で年間最大20万人の死亡原因と推算されている。肺塞栓症の早期検出が救命可能性を改善することは多くの研究で知られており、このワークフローにAI主導のトリアージが有益であるとして各種の技術開発が進められてきた。
AI画像診断で業界をリードするAidoc社のニュースリリースによると、同社は画像解析システムのプロバイダーであるImbio社とのパートナーシップで「肺塞栓症の検出と治療転機の改善を目的とした統合AIシステム」を提供することを発表している。もともとAidocは、CTスキャンから肺塞栓症が疑われる患者をリアルタイムで通知する診断AIで既にFDA承認を受けていた。そこにImbio社のRV/LV比を自動計算し定量評価する解析プログラムを統合して、肺塞栓症患者の重症度評価を改善しその後の早期治療と予後改善につなげることを目標としている。
RV/LV比は心臓における右室(RV)と左室(LV)の短径比を計測して右心系にかかる異常な負荷を検知するもので、肺塞栓症における早期診断の指標として臨床で活用されている。そのため、同指標の解析結果が肺塞栓の自動診断ワークフローに統合されることは理にかなう。AidocとImbioのパートナーシップは、複数のAIの価値を統合し臨床ニーズにあわせて提供されるひとつの理想的な形と言えるだろう。