肝細胞がん(HCC)における治療後の予後予測は広く検討が進められてきたが、近年のAIアプローチは従来のシンプルな線形解析に比して高精度な予測可能性が指摘されている。イタリア屈指の名門大学であるローマ・ラ・サピエンツァ大学などの研究チームは、HCC治療後の予後予測についてAIの果たす役割を調査したシステマティックレビューを公開した。
World Journal of Gastroenterologyに掲載されたチームの研究論文によると、メタアナリシスガイドラインに従い、人工知能・深層学習・肝細胞がんといったキーワードからウェブベースの文献検索を実施した。スクリーニングされた598の論文のうち、9つが選択基準を完全に満たし、6つについてはバイアスの内包リスクが低いと判断された。患者のサンプルサイズは11から2万と非常に不均一であったが、6つの研究で人工ニューラルネットワーク(ANN)が含まれており、残り3つではサポートベクターマシンやArtificial Plant Optimizationアルゴリズム(APOA)などが確認された。いずれのケースでも、トレーニングコホートからモデルをトレーニングし、検証コホートにおいて精度確認が行われる慣習的手法であった。AIモデルは全ての場合において、従来型の統計モデルに比べて優れた予測パフォーマンスを示していた。
HCC治療後の生存予測においては、古典的な統計手法によって構築される従来型の予測モデルを上回る可能性が高いと結論付けており、研究チームは同手法の普及促進と他疾患における拡張にも期待を示している。