乳管内に異常細胞が生じる「非浸潤性乳管がん(DCIS)」は、その死亡リスクは低い一方で、わずかな割合では病変部が浸潤性となる懸念から、積極的治療の対象ともなってきた。マンモグラフィで同定されたDCISの過剰治療を避けるため、米ミシガン大学の研究チームは、同疾患の転機を予測する機械学習アルゴリズムを構築した。
今月5日、Cell Physiologyにて公開されたチームの研究論文によると、10年以上前に研究向けに提供された細胞サンプル群をデジタル画像として、DCISの転機を予測する機械学習アルゴリズムをトレーニングしたという。導かれた最良のモデルはがんの再発と非再発を91%の精度で識別しており、偽陰性はわずかに4%であった。研究チームは、このツールが現在の臨床ワークフローに問題なく適合すること、利用の促進がDCISの過剰治療を減らす可能性があることに言及している。
本研究成果はDCISの転機予測とともに、特定の治療介入に反応する患者を特定し得ることから、個別化医療への大きな助けとなる可能性もある。日本をはじめ、各種スクリーニングの実施件数が多い国・地域にとっては、過剰診断・治療が問題視されることも多く、技術利用による事態改善には期待が大きい。