カナダ・オンタリオ州のトロント大学は、19世紀に設立された州立大学で、カナダ屈指の名門として知られている。同大学は今週、医学領域に特化したAI・データサイエンスの研究教育拠点を新たにオープンした。
トロント大学の公式ニュースリリースによると、Temerty Centre for Artificial Intelligence Research and Education in Medicine(T-CAIREM)と名付けられた同センターは、「ヘルスケアの革新」を目標に、医学にコンピュータサイエンスや統計学、数学、工学など多領域の専門家を集めてコラボレーションを促すフォーラムの形成を目指すという。また、医療AI研究の積極推進のみならず、同領域に関する教育とデータインフラストラクチャの整備にも焦点を当てており、 特色ある点としては、トロント大学でMD/PhDプログラムに在籍する現役学生をセンター運営メンバーに迎えるなど、古典的な教育提供体制の構築とは一線を画している。
トロントはコンピュータサイエンス・統計学領域にも強力な土壌を持っていたが、急成長する医療AI人材の受け皿がないという現実的なギャップが存在した。現にT-CAIREMが現地研究者らにセンターへの参加を呼びかけたところ、短期間で400人に及ぶ専門家コミュニティの形成に至っており、今後の更なる拡張も見込まれている。初代センター長を務めるMuhammad Mamdani氏は「優秀な臨床医と研究者を集め、種々のコラボレーションとデータアクセスの易化を進めることで、将来の世代のために医療の抜本的変革を目指していく」と語った。