医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例一般血液検査でCOVID-19感染の可能性を除外 - Biocogniv社「AI-COVID」

一般血液検査でCOVID-19感染の可能性を除外 – Biocogniv社「AI-COVID」

COVID-19の標準的診断法PCR検査では、判定までの時間や医療資源の限界が未だにボトルネックとなっている。そのため、ルーチンで採取される一般血液検査から感染を迅速に予測するAI手法の確立が、各地で試行錯誤されている(過去記事)。

米バーモント大学Cedars-Sinai病院の研究者らは、Biocogniv社が開発した一般血液検査から感染確率を予測するAIソフトウェア「AI-COVID」の性能を、学術誌 Journal of Medical Internet Researchに報告した。AI-COVIDは血球数・生化学・代謝など一般的な採血検査項目の変化を機械学習モデルで解析し、PCR単独では及ばない迅速なスクリーニングを可能にする。検証結果ではAUC 0.91を達成し、モデルの特徴として41.7-59.9%という中程度の特異度を維持しながら、92.6-95.9%という高感度と、97-99.9%という陰性的中率(NPV)を示し、一般的に臨床利用されている除外診断検査の性能に近似する。

「米国内の救急外来でオーダーされたPCR検査の判定までの平均所要時間は24時間を超え、目標とされる時間短縮には程遠い」とBocogniv社のCOOであるTanya Kanigan博士は述べている。AI-COVIDは一般血液検査によるCOVID-19スクリーニングツールの大本命となることができるか、今後の普及が注目される。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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