医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例Amazon HealthLake - 患者情報の標準化と医療ビッグデータ分析の大本命へ

Amazon HealthLake – 患者情報の標準化と医療ビッグデータ分析の大本命へ

Amazon Web Services(AWS)は先週、ヘルスケアデータの構造化分析をサポートするHIPAA準拠サービス「Amazon HealthLake」を公表した。臨床現場においては、カルテ記録・医療画像・各種検査結果・保険請求など、多面的な患者データが日々大量に蓄積・更新されているが、これらが適切に構造化されているケースは稀であるために、データ間の関連とそこから抽出される臨床知見導出はこれまで遅々として進まなかった。

AWSの公表によると、Amazon HealthLakeでは種々の患者データを一元化されたデータレイクに収集し、機械学習技術によるデータの自動標準化を実現しているという。サービス内では、タグ付けやインデックスおよびクエリの作成を通して横断的な情報検索環境を構築するとともに、個別化医療に向けた強力なデータ分析を可能とする。また、ペタバイト規模に及ぶ大規模データであっても、これまで数週間以上を要した処理時間を数分に短縮できる事実とその安全性を強調している。

一部の医療機関においては、非構造化データの変換と臨床情報のタグ付けプロセスを自動化するルールベースのツールを構築しているが、データを異種システム間で正規化する必要があるため、効果的な運用には障壁が大きかった。また、適切な構造化に成功しているケースであっても、データ間の関連推定と知見導出のためには解析アプリケーションを独自開発しなければならないことから、プロセス自体の複雑さと必要コストのために、各機関が保有するビッグデータは「鍵の無い金庫に保管される金塊」でしかなかった現実がある。AWSの新しいサービスローンチが、日常臨床の質を劇的に変化させるターニングポイントとなる可能性もある。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。
The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。

1. 岡本 将輝
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、ロンドン大学ユニバーシティカレッジ(University College London)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員を経て、SBI大学院大学客員准教授、東京大学特任研究員など。専門はメディカルデータサイエンス。

2. 杉野 智啓
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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