医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例オックスフォード大学 - 一般血液検査とバイタルサインからCOVID-19を識別するAI

オックスフォード大学 – 一般血液検査とバイタルサインからCOVID-19を識別するAI

オックスフォード大学ジョンラドクリフ病院などの研究チームは、一般血液検査項目とバイタルサインから、来院後1時間以内に92.3%の患者の「COVID-19ステータス」を識別するスクリーニングAIシステムを開発した。

11日、The Lancet Digital Healthに掲載されたチームの研究論文によると、オックスフォード大学の感染症および臨床機械学習の専門家によって構築されたこのシステムは、11万人を超える電子カルテ記録から抽出された「一般血液検査とバイタルサイン」に基づくもの。CURIAL AIと呼ばれるこのスクリーニングシステムは現在、ジョンラドクリフ病院の感染症科および救命科において臨床ワークフロー内で適切に機能するか、複数の公的研究助成を受けて妥当性の検証試験を進めている。また、チームは10分で検査が終了する「CURIAL AIの高速バージョン」についても、近く同院で検証が始まるとしている。

現在のCOVID-19スクリーニングはPCR検査に大きく依存しているが、検査結果が明らかになるまでの長いタイムラグが臨床的課題とされてきた。そういったなか、機械学習技術を活用した新しいアプローチが多面的に模索されている。下記に挙げる関連記事も参照のこと。

1: 一般血液検査でCOVID-19感染の可能性を除外 – Biocogniv社「AI-COVID」

2: 一般的な血液検査項目からCOVID-19陽性者を識別する機械学習モデル

3: 標準血液検査項目から新型コロナウイルス感染を識別するAIモデル

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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