COVID-19患者による病床不足が各地で問題となる中で、どの患者が人工呼吸器やICUでの治療を必要とするか予測するAIが様々な形で発表されている。そのひとつとして、米カリフォルニア大学アーバイン校(UCI:University of California, Irvine)の研究者らが開発した、どの医療機関でもオンラインで無償利用可能な「COVID-19患者における72時間以内の重症化予測AIツール」が公開されている(URLリンク)。
UCIのニュースリリースでは、同ツールを紹介している。ツールの検証研究は査読つきオープンアクセスジャーナル PLOS ONEに公開された。モデルはCOVID-19患者の重症化について約95%の識別精度(C統計量0.940以上)を示している。同研究では主にアジア系アメリカ人・ラテン系・白人という人種的背景が混在しているが、さらに異なる患者背景でも機能するか、バリデーションは米アトランタのエモリー大学の患者40名でテストされた。
実際に無料公開されたツールを利用すると、年齢・性別・基礎疾患の数・BMI・呼吸数・各種検査値など、13項目の入力のみで結果が得られる非常に簡便で使いやすいものであった。なお、一部の判明している項目の入力のみでも結果が出力できる。(研究デザインでは、全項目がそろった患者はトレーニングデータで30/87名、残りの患者はひとつ以上の項目が欠損、半数以上にあたる7項目以上が欠損した患者は研究から除外されている。)算出されるスコアは「人工呼吸器またはICU治療が必要となる確率」で、結果の解釈を助けるため陽性的中率(PPV)と陰性的中率(NPV)が参考として付記される。このようなツールが医療崩壊回避の助けとなるか、研究の発展と普及に期待したい。