浮遊粒子状物質(SPM)は粒径10μm以下の粒子の総称であり、代表的な大気汚染物質のひとつとして取り扱われている。SPMによる健康被害が特に強く危惧される中国において、「SPMと腎機能の関連」を250万人の若年成人を対象に調査した研究成果がこのほど明らかにされた。
Environment International誌から先週オンライン公開された研究論文によると、北京大学の研究チームは中国の全国出生コホートを利用し、慢性疾患を持たない18-45歳までの約250万人のデータを用いて調査を行ったという。腎機能の指標にはeGFRを設定し、SPMへの年間曝露量については衛星リモートセンシング情報からの機械学習モデルによる推定を行った。eGFRとSPMの関連を一般化加法混合モデルによって評価したところ、種々の交絡因子を調整した後においても、SPMへの曝露増加が若年成人における腎機能低下と関連することを明らかにした。
本研究成果ではまた、男性と比して女性の方がこの関連性が強固であることも示唆しており、交互作用項は統計学的にも有意であった。研究結果は早急な政策的介入の必要性を支持するものであるとともに、本研究手法は他人種における評価へと容易に拡張できるものであることから、あらゆる国・地域での追試も進められることを期待したい。