ユーイング肉腫は小児期から青年期に好発する悪性骨腫瘍の1つだ。これまで個別化された予後予測手法は限定的であったが、このほど中国・福建医科大学などの研究チームは、米国患者データを利用し、ユーイング肉腫患者の5年生存率を個別化予測できる機械学習ツールを開発した。現在、開発されたウェブベースのアプリケーションは無償公開されている。
17日、Journal of Orthopaedic Researchから公表されたチームの研究論文によると、米国で1975年から2016年の間にユーイング肉腫に罹患した2,332名の患者データから、この機械学習アルゴリズムを導いたという。患者コホート全体としては、5年間の追跡調査による全生存率は60.72%であった。ツールには最も高い予測パフォーマンスを示したランダムフォレストモデルが選択され、診断時の年齢や性別、婚姻状況、原発部位、腫瘍グレード・ステージ、放射線治療の有無など13項目から高精度な予測を実現している。
著者らは「ユーイング肉腫における予後予測のための最初の機械学習ツール」として、研究成果の重要性を強調している。簡便に利用できるツールではあるが、現時点で臨床的有効性・妥当性の程度を外的に評価されたわけではないこと、またベースとなる対象集団が米国人が中心であることなどから、日本人を含む他集団への一般化可能性は未知であり、ツールの利用には注意が必要となる。