統合失調症は、妄想・幻覚・思考障害といった多彩な症状を示す精神疾患であり、全人口の約1%という有病率は世界的に共通する。カナダのアルバータ大学を中心とした研究チームが「脳スキャンfMRIから統合失調症を87%の精度で診断する機械学習アルゴリズム」を構築したことは以前に紹介した(過去記事)。
アルバータ大学の26日付ニュースリリースでは、同グループが統合失調症患者の1親等以内で最大19%といわれる有意な発症リスクの差に着目し、「家族性の高リスク群での統合失調症発症初期を予測する機械学習ツール」として研究内容を発展させ、学術誌npj schizophreniaに収載された研究を紹介している。EMPaSchiz(Ensemble algorithm with Multiple Parcellations for Schizophrenia prediction)と名付けられている同ツールは、統合失調症患者の1親等以内の親族で、かつ統合失調症ではないと診断されている57名を対象とし、統合失調症の診断手法のひとつ「Schizotypal Personality Questionnaire」のスコアが最も高い上位14名を、画像解析から同定することができた。
このことは、統合失調症における臨床診断の完全な基準を満たしていない場合でも、発症に対する脆弱性を早期に予測できる機械学習診断モデルの可能性を示している。グループは研究の次のステップとして、家族性の高リスク群以外でもツールの精度を確認し、そこで評価された個人が後に統合失調症を発症するか追跡するという前向き研究へ進むことを想定している。