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聴性脳幹反応を自動分類する機械学習手法

聴性脳幹反応(ABR)は、聴覚神経系の刺激によって得られる電位を頭皮上で記録するもので、意識状態や睡眠状態などの影響を受けにくい他覚的検査として重要視されている。一方で、その解釈には相当の経験とトレーニングが必要となり、またヒューマンエラーに基づく不適切な解釈が謝った判断に繋がる可能性から、ABR評価の自動化は長く求められてきた。

カナダ・オンタリオ州ロンドン市に本拠を置くウェスタン大学の研究チームは、ABRを自動解析する機械学習アプローチの開発に取り組み、このほど、この研究成果をComputer Methods and Programs in Biomedicineに公表している。公開されたチームの研究論文によると、サポートベクターマシンやランダムフォレスト、勾配ブースティングなど6つの機械学習モデルによって、ABRに存在する神経学的異常を正確に特定できる手法を探索した。なかでも、複数の決定木を組み合わせて学習するXGBoostを利用してトレーニングされたモデルは、臨床的に重要な信号特徴を92%と最も優れた精度で識別することを明らかにしている。

本研究成果はABR波形の分析プロセスを自動化するための有用な知見を提供しており、将来的には耳鼻科専門医や言語聴覚士によって利用される評価ツールの導出に至ることが見込まれる。現時点で、聴覚障害を持つ子供たちをスクリーニングするための機械学習ベースのアプリケーションは実現されておらず、本研究成果を元に同領域において利用可能なツール開発が加速すること、そして願わくば本メディアの読者からも積極的な取り組みのあることを期待したい。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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