スマートフォンに対応するAI利用のモバイル心電図は、Apple Watchの台頭によって身近なものになった。特に不整脈の一種である心房細動の検出は技術的に十分確立されてきたと言え、その他にも多彩な心疾患をモバイル心電図で検出しようとして各所で適応拡大に向けた開発がすすむ。
個人用モバイル心電図をリードする企業 AliveCorは1日付のプレスリリースで、同社のデバイスKardiaMobileシリーズが心電図判定機能を拡張したことを発表している。2020年11月の段階でFDA承認をクリアしていたそれら拡張機能は、SVEおよびPVCといった期外収縮、そしてQRS間隔の拡大を検知する。KardiaMobileはもともと心房細動・徐脈・頻脈の検出機能で承認を得て製品を展開していた。また学術誌 CirculationにはKardiaMobile 6Lを用いたメイヨークリニック主導の研究が併せて発表されており、そこでは同デバイスがQT延長の検出において従来の12誘導心電図と比較しても十分な能力を示した結果が示されている。臨床的にひとつの指標とされる500ms以上のQT延長の検出では、AUC 0.97・感度 80.0%・特異度 94.4%であった。
QT延長は、遺伝的・先天的なもの、FDA承認の薬剤100種以上で起きる可能性のある薬剤性のもの、COVID-19も含む多くの全身性疾患によるもの、などで検出される比較的身近な心電図異常である。AliveCorではモバイルデバイスの購入に加え、サブスクリプションのメンバーシップ制度を用意している。90日ごとの循環器専門医による心電図評価、介護者との心電図自動共有、30日間のデータをまとめたレポート、リマインダーやタスクリストといった専用機能を提供し、自宅でのリモートケアへの移行が進む時流をとらえようとしている。