プロアスリートの競技パフォーマンスと密接に結びつく、心拍数などの生体情報を取得するウェアラブルセンサーは各所で実用化されている。しかしセンサーの質はプロユースに値する学術的な担保があるとは限らない。Sports Data Labs社から「実戦でのエリートアスリートからリアルタイムデジタルバイオマーカーを収集可能な医療グレードのセンサー」について学術誌 Digital Biomarkersに査読付き論文として発表されている。
Business Wireに掲載された4日付プレスリリースによると、プロスカッシュ協会の協力のもと、2019-2020年の実際の試合で14名のプロスカッシュ選手が研究参加し、Sports Data Labs社のウェアラブルセンサー「BioStamp」と独自解析システムの能力が検証された。BioStampは胸部に貼り付ける小型のセンサーであり(論文内Fig.1参照)、既に臨床的な精度が検証済みの胸部に巻くストラップ型心拍計(Polar社)と比較検証され、強い相関(スピアマンの順位相関係数 rs=0.986)が示された。
同研究は、極端な運動性能や骨格特性を示すプロアスリートの実戦という厳しい環境下での検証結果である。「Sports Data Labsの独自技術によって、医療用ウェアラブル機器における普及の壁を打ち破る可能性がある」と同社のチーフメディカルオフィサー(CMO)であるGiulio Bognolo医師は述べている。アスリートにまつわる研究として先日紹介した「マイクロ波ドップラーでアスリートの動きを評価するAI」も併せて参照いただきたい(過去記事2021/02/03)。