「behavioral health」という概念は、精神症状・自傷行為・依存症など精神科および心理学の健康管理を幅広く含むもので、米国を中心に近年提唱されるようになってきた。一部の問題行動を予測することは困難とされてきたが、AIモデルによって予測精度を高める機運がある。
米サウスダコタ州拠点の医療グループ Sanford Healthの8日付ニュースリリースによると、同グループで開発されたAIモデルは3つのbehavioral health領域における問題行動、すなわち「自傷行為・精神病型イベント・化学物質依存症」の発症を予測するものである。そのモデルは「Predicting Health Outcome in a Behavioral Health Outpatient Setting(PHOBOS)」と呼称されている。PHOBOSは医療記録にもとづき、3つの健康問題について患者が今後1年以内に1つ以上の状態に陥る可能性をパーセント表示し、医療者に通知できる。
開発者らはPHOBOSのようなAIツールがもたらす以下の利点を提唱している。①behavioral healthの専門医療サービスへ患者のアクセスを優先させる、②プライマリケア医への通知でメンタルヘルスに焦点を当てさせる、③ケアによる状態改善がスコア改善として反映される可能性、の3つだ。また、開発者らはCOVID-19が精神衛生上に与えた影響によって、2020年のデータがこのモデルに反映されたときどのようなものになるか興味深いとして、今後の開発について検討している。