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電子カルテとAI – 新型コロナウイルス感染後の死亡リスクを高める46の危険因子を特定

米マサチューセッツ総合病院(MGH)などの研究チームは、COVID-19患者の電子カルテ情報から、感染後の死亡リスクを高める46の臨床的危険因子を特定した。研究成果は、英Natureの関連誌であるnpj Digital Medicineからこのほど公開されている。

チームの研究論文によると、1.6万人を超えるCOVID-19患者の縦断的医療記録を活用し、AIアプローチによって様々な年齢層における死亡への危険因子の探索、および死亡予測モデルの構築を行ったという。研究成果から、COVID-19患者の死亡予測を行う上で最も説明力を持つ因子は「年齢」であることを示し、また同時に「肺炎の既往」があることも大きな影響を持つことを明らかにした。45歳から65歳までの年齢層では、「合併症を伴う糖尿病」や「悪性腫瘍」、特に乳がん・前立腺がんがリスクとなるとしている。さらに65歳から85歳までの年齢層では、間質性肺炎、COPD、肺がん、喫煙歴など、「呼吸器系への多大な影響を及ぼすもの」が転帰不良の強力な予測因子となっていた。

研究チームは「電子カルテ記録のみに基づいて正確な個人リスクスコアを算出できることは、医療リソースの効率的な割り当てに資する」としており、急増する医療需要に伴う医療崩壊の回避に向けた、現実的な施策立案に活用できることを強調している。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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