医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例握力低下に苦しむ人々を手助けするAIグローブ

握力低下に苦しむ人々を手助けするAIグローブ

手の筋力低下に苦しむ患者は、加齢・多発性硬化症・脳卒中・関節リウマチ・手根管症候群など多岐にわたり、英国内では250万人程度との試算がある。それら握力低下を支援するため、AIベースのロボットグローブを開発するスコットランドのスタートアップ「BioLiberty」がある。現在BioLibertyはエジンバラにあるヘリオットワット大学を拠点とし、エジンバラビジネススクールのインキュベーター支援を受けて開発をすすめている。

ヘリオット大学のニュースリリースでは、BioLibertyのAIロボットグローブについて紹介している。その軽量グローブはユーザーの筋電図を測定し、握ろうとする意図を検出するアルゴリズムによって、ユーザーに必要な握力を与えることができる。瓶を開ける・運転する・お茶を注ぐといった日常の幅広い作業に対応しており、一部の特定動作の握力にのみ対応していた市場の従来製品と差別化されている。

BioLibertyの共同創業者であるRoss O’Hanlon氏は、自身のおばが多発性硬化症と診断されて動作困難となったことを会社立ち上げのきっかけとしており、「おばのような人々が自立性を維持するためにテクノロジーを用いた課題解決に取り組むことを決めました」と語る。同氏は「BioLbertyが支援を受けているようなインキュベータープログラムが、他の起業家にも次のステップを踏み出すきっかけとなることを願っている」とする。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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