日々の排泄物を解析して健康状態を把握する「スマートトイレ」という構想が実用化に近づいている(過去記事)。5月21日から23日まで開催された国際会議「DDW 2021(Digestive Disease Week 米国消化器病週間)」では、既存トイレの配管に後付けする方法で、パイプ内を通過する便の性状や血液混入の有無を解析できるAIツールが発表された。
EurekAlertでは、DDW 2021で発表された米デューク大学ダーラム校のグループによる同研究の概要を紹介している。3,328枚の便画像から畳み込みニューラルネットワークで構築されたAIアルゴリズムは、トイレのパイプ内を通過する便の画像から、便の形態を分類するブリストル・スケールに従って85.1%の精度で分類できた。また便中の肉眼的な血液の混入を76.3%の精度で検出できたという。
同研究の主任研究員でデューク大学のスマートトイレラボの創設者であるSonia Grego博士は「トイレの配管に後付けして、水を流す以外に何もする必要のない技術のため、患者が使用意欲をもってくれると期待しています。炎症性腸疾患(IBD)の再燃や治療反応をモニタリングしたり、状態を自分で報告できない長期療養施設の患者などに特に有効でしょう」とインタビューに答えている。研究チームはこの技術に便の生化学マーカー分析機能の追加も検討中とのことで、さらなる続報が待たれる。
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