医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例細菌を嗅ぎ分ける人工鼻「C-dot-IDEs」

細菌を嗅ぎ分ける人工鼻「C-dot-IDEs」

昔から臨床現場では、細菌に感染した傷口から緑膿菌など特有の匂いを嗅ぎ分ける、といった経験的な知恵があった。近年のナノテクノロジーの発展により、微生物が放出する蒸気(VOC: 揮発性有機化合物)を「人工鼻」で識別する技術が実用化されてきた。

イスラエルのネゲブ・ベン=グリオン大学(BGU)からのニュースリリースによると、BGUのチームがカーボンナノ粒子(carbon dots: カーボンドット)を用いた人工鼻によって細菌の検出と識別を可能とする技術を開発している。成果はNano-Micro Letters誌に発表された。人工鼻はカーボンドットを塗布した高密度電極(IDE)が静電容量の変化を捉えることで蒸気を感知し識別する。そこに機械学習アルゴリズムの解析が加わり、細菌ごとに特徴的な揮発性化合物の「指紋」を識別可能となる。

人工鼻のプラットフォーム「C-dot-IDEs」は、堅牢で安定した性質、再利用可能、安価な構成といった特徴を有すると研究チームは考察している。人工鼻技術は今後、医療施設内での細菌の識別、細菌検査の迅速化、呼気検査への応用、食品の腐敗検出、有毒ガスの識別といった無限の可能性を秘めているとして、開発チームはイノベーションを加速させようとしている。

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1. 岡本 将輝
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、ロンドン大学ユニバーシティカレッジ(University College London)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員を経て、SBI大学院大学客員准教授、東京大学特任研究員など。専門はメディカルデータサイエンス。

2. 杉野 智啓
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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