Mona – ICUケアのDXを目指すAIデバイス

新型コロナウイルスの感染拡大は各国に医療提供体制の見直しを促し、医療崩壊を未然に防ぐための在り方が多面的に模索され続けている。特にベッドサイドテクノロジーの向上は、患者モニタリングの質的向上に加え、医療者の負担軽減にも直接的に資する可能性があり期待が大きい。

Clinomicが提供する「Mona」は、集中治療室(ICU)での使用に向けて設計された独自のAIシステムで、患者データの自動収集とデータの要約、AIによる臨床的意思決定支援を行うもの。Clinomicのコアメンバーは集中治療の専門医からなり、ICUにおける臨床的課題感を肌身をもって感じてきた。つまり、ICUにおいて患者の生存確率を高めるためには「種々のデータを継続監視」することが欠かせない。状態の悪化に伴って管理すべきデータポイントは指数関数的に増加するため、ICUの医師はモニター前に座ってデータ確認と解釈、それに基づく治療方針への意思決定を行わなければならず、必ずしも多くの時間を患者および家族とのみ向き合うものではないということだ。CEOのArne Peine氏は、AIとバーチャルアシスタントが事態解決のキーになると考え、Clinomicにおけるテクノロジー開発を推進してきた。

Monaはインターネット接続を要さないシステムで、データは全て院内に留まり、ウェブを介したセキュリティリスクの一切を排除する。また、デバイスには高解像度魚眼カメラを搭載し、180度の鮮明な視界によって医療者・介護者の双方をモニタリングできるなど、COVID-19を始めとした感染リスクのコントロールにも配慮する。MonaソリューションがICU医師の負担を軽減し、能力を強化する革新的ツールとなるか、ICUのデジタルトランスフォーメーションに期待が集まっている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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