肝細胞がんは、ハイリスク患者のモニタリングプログラムと画像診断技術の向上により、全体の40-50%が早期肝細胞がん(EHCC: early hepatocellular carcinoma)として診断されるようになってきた。EHCCは切除や焼灼による根治的治療で良好な予後が期待できる。しかし、肝細胞がんの予後を予測する病期分類は、EHCC患者の切除術後に焦点を当てていないため、その予測精度は不十分との指摘があった。
南京医科大学の研究グループでは、EHCCに対する肝切除後の生存率を予測する機械学習ベースのモデルを開発している。肝切除を受けたEHCC患者2,778名のデータから構築・検証された機械学習モデルは、年齢・人種・αFP・腫瘍径・多房性・脈管侵襲・組織学分類・線維化スコアといった8つの変量から構成されている。これは「10年後の疾患特異的生存率」についてc統計量 > 0.72という良好な予測精度を達成しており、AJCC分類のような既存の病期分類と比較しても優れたリスク層別化ができたという。研究成果は Journal of Hepatocellular Carcinoma誌に掲載されている。
同研究は、大規模データセットに基づく機械学習アルゴリズムをEHCCに初めて適用したものと謳う。著者らは「容易に入手できる診療データから学習したモデルによって、既存の予後予測情報を補完し、EHCC切除後患者の個別化治療を改善する可能性を示すことができた」と結論づけている。
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