独ドレスデン工科大学 – 生体移植可能なAIシステム開発

AIの臨床応用が進む中で、システム自体を生体内へ埋め込むには技術的な課題が残されている。独ドレスデン工科大学の研究チームは、生体適合性のある埋め込み型AIプラットフォームの開発に成功している。

ドレスデン工科大学のニュースリリースでは、学術誌 Science Advancesに掲載された同研究の成果を紹介している。チームはポリマー繊維を用い、人間の脳神経系に似た構造のネットワークを構築することで「ニューロモルフィックAI」の原理を実現した。ネットワークはペースメーカよりも省エネルギーで、生体からのわずかな信号変化も増幅可能という。その試験では、健康な心拍と3種の不整脈を88%の精度で識別することができた。

これまで成功していた生体適合部品は、個々のシナプスやセンサーなど単純な部品に限られていた。同研究は「複雑な分類タスクをリアルタイムに生体内で行う可能性」を示している。埋め込み型AIシステムの潜在的な需要は多岐にわたり、当該研究にみられた不整脈のほか、手術後の合併症をモニターし、スマートフォンを通じて医師・患者の双方に報告することなどが想定されている。

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The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。

1. 岡本 将輝
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、ロンドン大学ユニバーシティカレッジ(University College London)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員を経て、SBI大学院大学客員准教授、東京大学特任研究員など。専門はメディカルデータサイエンス。

2. 杉野 智啓
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。