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MayaMD – AIヘルスアシスタントが「臨床医を超える正確なトリアージ」

MayaMDはヘルスアシスタントとして機能するAIアプリケーションで、言語ベースの症例情報から、重症度判定と受診先選定などに強力なトリアージ性能を持つ。このほど米UCLAの研究チームが公開した研究論文では、このMayaMDによるトリアージが「一般的な臨床医と同等かそれ以上」の精度である可能性を示し、話題を呼んでいる。

The Cureus Journal of Medical Scienceから公開された研究論文によると、文章化された症例エピソード(例:25歳男性。数時間前から強い息切れを自覚している。症状は彼が運転していた車での事故後から継続。同時に胸の痛みも訴えている)から、その緊急度を4段階で判定する試験を行い、一般臨床医およびMayaMDで比較検証したという。専門医によるコンセンサスとして得た回答とどれだけ一致したかを調査したところ、一般臨床医らが80%であったのに対し、MayaMDは88%とより高い判定精度を示していた。

MayaMDはベイジアン統計とパターン認識に基づくコアアルゴリズムの上に、教師ありおよび教師なしの機械学習を重ねることで、各種データの「変化」に柔軟な対応をみせる。MayaMDのライブラリとコアアルゴリズムは、7,000以上の診断、8,500の臨床所見(症状・理学所見・検査結果)、40,000の推論、2,200の薬と相互作用、といった数多の臨床知識体系によって構築されている。著者らは「医療トリアージの適切性と安全性を向上させ得るAIベースアプリケーションを活用することで、患者転帰や医療の効率性を改善できるかもしれない」とし、患者・医療者・保険者が広範な恩恵を受ける可能性を指摘している。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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