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関節リウマチへのAI研究 – 腸内細菌叢から治療法を変革

関節リウマチは、関節の炎症と痛みを特徴とする慢性疾患で、骨の破壊と変形に伴う機能障害を引き起こす。関節リウマチの活動性や進行を予測するバイオマーカーとして、腸内細菌叢「マイクロバイオーム」が有効という仮説のもとに、遺伝子解析とAI技術を用いた研究が米メイヨークリニックで行われている。

メイヨークリニックのニュースリリースでは、学術誌 Genome Medicineに発表された同研究が紹介されている。研究チームでは、関節リウマチ患者32名の便を採取し、腸内細菌叢のプロファイルを解析した。その結果、臨床的に症状が改善した患者とそうでない患者との間で、腸内細菌叢の特徴が有意に異なることが観察された。また、関節リウマチが臨床的な改善を達成できるかどうか、深層学習モデルによって90%の精度で予測することができた。

関節リウマチに限らず、炎症性疾患や自己免疫疾患の多くに腸内細菌叢が関与していると考えられてきた。しかし、マイクロバイオームには食事を含む環境因子や遺伝因子など、多因子が複雑に影響するため、その関連抽出には、計算生物学の専門家と臨床医が強力なパートナーシップを築くことが欠かせない。メイヨークリニックの計算生物学者であるJaeyun Sung博士は「今回の研究成果から、腸内細菌叢を変化させることで関節リウマチの治療効果を高め得ることが考えられ、治療法を大きく変革する可能性が示された」と語っている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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