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医療×コンピュータビジョン – 旧式の医療機器からウェブカメラでデータ抽出

リアルタイムでのデータ管理と記録は、あらゆる疾患治療に重要となる。一方で、適切な形式でのデジタル出力に対応しない「旧式の医療機器」が、実際の臨床現場で多く使われている現実がある。カナダ・マニトバ大学の研究チームは、一般的なウェブカメラとコンピュータビジョンによる光学式文字認識を用い、旧式の薬注ポンプ(薬液を正確に定量送液するための点滴用機材)からデータ抽出を行うことができるという研究成果を公表した。

Frontiers in Big Dataからこのほど公開されたチームの研究論文によると、一般的なウェブカメラと無償利用可能なソフトウェアを利用することで、薬注ポンプのリアルタイム画像からデジタルテキストを生成するスクリプトを作成したという。取得した薬理データは、他の生理学的データと一塊にして患者モニタリングソフトウェアに転送することで、従来技術的限界のために個別チェックが必要であった旧式機器を効果的に臨床ワークフローに取り込むことに成功している。

著者らは「この種の技術利用で、ベッドサイドチャートでの人為的ミスを排除できること、旧式医療機器であっても現代テクノロジーへの適応を可能にすること」等に言及し、独創的研究の成果に自信を示す。なお、本研究で構築されたプロトシステムは、関心のあるエンドユーザーが利用できるようにするため、関連するソースコードは全て一般公開されている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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