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COVID-19の転機を予測するフェデレーテッドラーニング研究

フェデレーテッド・ラーニング(FL: Federated Learning)は、複数機関からのデータを用い、匿名性を維持しながらAIモデルを学習する手法である。データ共有に関する多くの障壁を回避できるとして、NVIDIA社を中心に応用が進んできた(参照: NVIDIA社の紹介動画)。英ケンブリッジ大学では「FLによってCOVID-19患者の人工呼吸治療と死亡を予測するAI研究」が行われている。

ケンブリッジ大学のリリースでは、学術誌 Nature Medicineに発表された同研究「EXAM: EMR CXR AI Model」が紹介されている。EXAMはこれまでで最大級かつ最も多様な臨床データが用いられたFL関連研究として、北米・南米・欧州・アジアから約10,000名のCOVID-19患者データ(電子カルテおよび胸部X線画像)を解析した。その結果、COVID-19患者における外来到着24時間以内の「人工呼吸治療の導入または死亡」の予測について、AIモデルは感度95%と特異度88%を達成している。

2020年3月〜4月にかけて約2週間あまりの学習データで、五大陸にまたがる汎用的で高品質のAIモデルを構築できたことは、FLによる画期的な成果として新たな基準となり得る。ケンブリッジ大学のFiona Gilbert教授は「最高の放射線科医のパフォーマンスに匹敵するソフトウェアを開発することは容易でないが、これは真の変革をもたらす希望となる。フェデレーテッド・ラーニングによって多様なデータを安全に統合できれば、学術界はより早くに変革を実現できるだろう」と語っている。

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1. 岡本 将輝
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、ロンドン大学ユニバーシティカレッジ(University College London)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員を経て、SBI大学院大学客員准教授、東京大学特任研究員など。専門はメディカルデータサイエンス。

2. 杉野 智啓
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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