肺がんの種類を大きく二分する「非小細胞肺がん」と「小細胞肺がん」において、AI研究は多数派の非小細胞肺がんに焦点が当たっている場合が多い。肺がん全体の約13%を占める小細胞がんは、より進行が速く転移しやすい傾向にあり、治療成績を改善するためにAI研究の拡充が期待されている。
米ケース・ウェスタン・リザーブ大学の研究チームで開発中の「治療の恩恵を受ける肺がん患者をCTスキャンから予測するAIモデル」について以前に紹介した(過去記事参照)。同チームは「小細胞肺がんにおける化学療法への反応と全生存率を予測するAIモデル」へと研究を進展させている。
本研究成果はFrontiers in Oncology誌に発表された。研究チームは、CTスキャンから化学療法に反応する小細胞肺がん患者の画像パターンを特定するAIモデルを構築し、その長期的な転帰との関連性についても調べた。小細胞肺がんの化学療法でスタンダードとされているプラチナ(白金)製剤ベースの治療に良く反応する患者では、腫瘍とその周辺領域における「テクスチャパターン」が異なることを本研究では明らかにしている。さらにAIモデルは、化学療法が効かず生存率が低い患者のスキャン画像にみられる「不均一性」についても示した。
小細胞肺がんでは、今後も化学療法が全身治療の骨幹となる状況が続くと考えられ、研究チームでは研究成果の価値を強調する。臨床的に有効な予測バイオマーカー確立のため、得られた成果を土台として、前向きの臨床試験が引き続き行われていく。
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